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伊豆の海の環境変化

先日、40 年ほどダイビングの指導をしている静岡のマリンショップメアーの鈴木正二さんに海中の話をする機会があり、伊豆の海中の変化などを聞いてみました。

文:鈴木正二

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海水温

ダイバーとして40 年ほど海に潜っていますが、今、海水温の上昇を痛烈に感じています。私がダイビングをはじめた40 年前の冬場の海水温は13℃で、とても冷え込みを感じました。20 年前に海水温が14℃~15℃までしか下がらなくなったとき、一安心した気持ちになったことは忘れもしません。そして、冬場の海水温は5年前から15℃以上をキープ、さらに2年前からは16℃が最低水温でした。

 冬場の海水温が30 年前より3℃上がり、水中生物にも変化を感じました。夏場に小笠原諸島や沖縄から黒潮や台風で伊豆半島へ訪れる南方の生物は冬場の海水温が15℃を下まわると動きが鈍くなり、捕食されたり死滅した後に貝が食べたりしていましたが、最低水温が15℃~16℃と上昇したため、越冬する南方の魚が増えてきました。そのうえ、繁殖する南方の魚もいます。アザハタ、ユカタハタなど、ハタ系の魚は生命力が強いのか、最近、増えています。このハタ系の越冬した生物は肉食で、もともと伊豆に生息する生物を捕食しています、その結果、この数年あまり見なくなった伊豆の魚が数多くいます。この数年、減少したと感じる生物は、メバル、マアジ、ネンブツダイ、クロホシイシモチなどです。やはり海水温が上がる環境では、海藻類も年々減っています。ダイバーとしてさまざまな水中世界を案内(生物紹介)していると、アワビやサザエは見ますが、貝類は海藻を食べて成長しているため、かなり少なくなったと感じます。余談ですが、漁業者の方は、貝が痩せて売り物にならないと言っていました。

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ハンマーヘッドは、南伊豆の弓ヶ浜の港から15 分ほどの沖の神子元島に、ときには200 匹以上の群れが回遊しにくる。興奮させなければ、危害を加えられることはない

夏場の海水温も上昇

例年、夏場は海水温が上がりますが、平均して27℃前後(水深15m から20m)でしたが、今年は30℃~31℃でした。これは、気候の変化が関係しているのか、はっきりしたことはわかりませんが、南方から訪れる生物が少なかったです。

※台風や低気圧の進路が関係していると思います。

 

水中ゴミ拾い

漁業権がないのでハッキリわかるゴミしか拾いませんが、コンビニのゴミ袋や釣り針の包装などを拾っています。この数年ゴミが増えているので、ダイビングのウェットスーツやドライスーツにポケットを付けました。

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優雅なミノカサゴの水中の舞い。サンゴ礁などの浅い岩礁域に生息する生息するカサゴ類で、背びれに毒を持つ、ダイバーや釣り人にとって危険な魚
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めったに出会えない美しい色の魚、カシワハナダイ。伊豆諸島相模湾以南の太平洋岸、琉球半島、インドー太平洋一帯に生息。ハタ科でハナダイの仲間
ダイビングスクール「マリンハウスメアー」代表
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