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『しぜんかんきょう』第二号

Interview #01

参議院議員 浅尾慶一郎さん

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葉山の海中のがれきの撤去作業を手伝う参議院議員の浅尾慶一郎さん

「海岸の管理者は、国から委託を受けた県ですが、県が先進的な思いを持って対策を講じているかどうかですね」

Q:海岸法が1999年に改定されて、今までは「防護」という形で、消波ブロックを積み上げていましたが、それにプラスして「利用」と「環境」に配慮しなければいけないという改定がなされましたが、今後の展望として、消波ブロックの配置替えは可能ですか?

 

浅尾:今ある消波ブロックの配置替えは可能だと思います。ただし、潮の流れが変わったり、漁業の関係も変わってきている部分もあります。入れたあと              に発生した漁業権がどうなっているか調べる必要があります。また、消波ブロックを動かすことに反対する人も出てきます。それが防護ということ以外に、商売上で反対する人がいるのかどうか、ケースバイケースになるとは思います。

 

Q:小田原に潜堤と呼ばれる海中の堤防が設置され、そこが海底牧場のように、カジメなどの海藻がつき、新しい漁場になったという報告があります。ひとつのいい雛形になるのではないかと思いますが、潜堤に関してお考えはありますか?

 

浅尾:そうですね。そういう形で新たな漁場になっているところは、むしろそっちのほうにしていこうということだと思います。ですので、今の消波ブロックがどういう状況になっているのか、環境面以外は、ちょっと調べてみないとわかりませんが、問題がなければ、今おっしゃった潜堤という形が一番いいという気がします。

 

Q:水産庁などの担当省庁でも、潜堤にしたほうがいいという論文が出ていますが、消波ブロックの積み上げを新しい法律に基づいて代えていくということは、難しいですか?それとも、消波ブロックが環境に負荷をかけているというのがわかれば、代えなくてはいけない事業のひとつになるのでしょうか?

 

浅尾:法律面と、予算面の両方なんだろうと思います。環境に負荷がかかっているということがちゃんと証明されれば、あとは予算の措置をどうとってくるのか。小田原のような例のように、予算も潜堤を入れることで、新たな仕事が発生できる形が一番いいと思います。

 

Q:ということは、変更することによって新しく漁場を作ったり、養浜によって利用可能な砂浜ができ、それが、効果があるという科学的なデータがあれば、全国的に広めていく雛形を神奈川県から発信していけるのでは?

 

浅尾:そうですよね。逗子海岸はウミガメが産卵に来るという話もありましたが、今はだいぶ砂浜が削られて養浜しないといけません。ですから、そういうところと合わせて元の産卵場所として復活させることができれば、非常にいいんじゃないかなと思いますね。

 

Q:行政の仕組みですが、国や神奈川県、そして市とありますが、どこに提案するのが一番いいのでしょうか?

 

浅尾:海岸の管理者は、国から委託を受けて県がやることになっていますので、やはり県ですが、県が先進的な思いを持ってやっているかどうか。先進的な事例ができれば、『ここでできているんじゃないか』という言い方ができるかなと思います。神奈川や静岡、千葉など、どこかでそういう動きを作っていくことが大事です。先ほども言いましたが、小田原のような具体的な例を示す担当者に宣伝してもらえば、一番いいんだろうと思うんです。さっき漁業の話をしましたけど、なかで取れる魚の種類がだいぶ変わっているという話もありますよね。だから、そこも地球全体の温暖化の影響なんだろうと思いますけど、できる限り、もといた魚を戻せるように、どういうことをしていくか。その流れの中で、消波ブロックではなく、違う形のほうが元の環境に近いということに繋げていくのが一番いいやり方だろうと思います。

 

Q:すでにいろいろな場所で海底牧場構想が始まっているというデータがありますが、神奈川県も積極気に海底牧場構想を取り入れていくという方向にいけるような知恵などがあれば教えてください。

 

浅尾:そうですね。漁業も単に獲るというところから海底牧場のような形で、育てる漁業に変えていかないと、世界的にも魚を食べる人が増えてきていますので、厳しいことになっていくのだと思います。そこを何とか海底牧場計画みたいな形で補っていければと思います。

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