『しぜんかんきょう』第二号

Interview #05

NPO海岸クラブ 真壁克昌さん

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環境省などと連携して行われた「海ごみゼロ」のイベントでビーチクリーンの話をする真壁克昌さん(右端)

「自分の身にならないと、きれいにする気にならない。
でもきれいになった海で遊ぶと、マイゲレンデになる」

ウインドサーファーの真壁克昌さんが逗子にやってきたのは、今から45、46年前だ。当時の逗子海岸はゴミだらけだったという。「ゴミがすごく多くて、犬のフンを踏んだりゴミを蹴っ飛ばしながら海に出ると、今度は、川から流れてきた洗剤であぶくだらけ。僕としては、きれいな海でウインドサーフィンをやりたいなと思っていたら、ちょうど逗子海岸では掃除のおばさんが3人ほど臨時職員としてゴミ掃除をしていたので、それを手伝ったりしながら、自分が遊ぶエリアだけでもきれいにしていました」

 きれいな海でウインドサーフィンをやりたいという思いで海岸清掃を続けていたが、そのゴミの量がトラック何台分にもなるような時代で、汗を流して海岸清掃を続けるボランティアという概念に真壁さんは疑問を感じはじめた。「ボランティアというのは、人のために善行をおこなうというのは偽りですから、偽善者なんです。だから自分たちのためにやろうぜ!ということになったんです」

 真壁さんがNPO海岸クラブを作ったのは、20年ほど前に井坂啓美さん(通称ドジさん、故人)との出会いの中で、井坂さんのビーチクラブをともに運営するためだったという。「ドジさんのビーチクラブを逗子海岸で運営するにあたって、ボランティアを募集しなくてはいけないので、新たに受け皿としてNPO海岸クラブを設立しました。1、2年で終わるのかなと思いましたが、いまでもボランティアの皆さんは手弁当でやってくれています」

 ビーチクラブの活動は、フラダンスやヨガ、サーフィン、ウインドサーフィン、カヌー、ヨット、シーカヤックなど多岐にわたるスポーツの無料体験が主なもので、最近ではSUPなども無料体験ができる。「無料体験会をやるのが土曜日で、毎月第1土曜日が逗子、第2土曜日が茅ヶ崎や平塚など、ビーチクラブの活動は日本全国で13ヶ所ありますが、僕は逗子だけで手いっぱいです。多いときで500人ほどの参加者がいて、もうボードが足りないというほどでした」

 逗子海岸での活動のルーティンはまず海岸清掃からはじまる。「海岸クラブでは、毎月第1 土曜日の9時半から10時まではゴミ拾いをして、あとは海で遊びましょうということです。自分の身にならないときれいにする気にならない。でもそこで遊ぶと、マイゲレンデだとかホームゲレンデになっていくんです」

 真壁さんは、子どもたちに海岸のゴミ拾いを頼むにはそれなりの説得力のある言い方があると、その極意を語る。「今、逗子でゴミ拾いをして、ここだけがきれいになってもと思うかもしれないけど、今、拾わなかったゴミは波が来たら対岸に流れちゃうし、さっき拾ったのは向こうから来たゴミだよ。向こうから来たりあっちへ行ったりしているうちに世界中にゴミが出でしまう。『今、世界中でどのぐらいのゴミが出ているの?』と訊かれたら、1億5000万トンだと教えています。今、世界の人口が大体80億人だから、1人20kg拾ってくれれば、海岸のゴミはなくなる。僕は年間大体300kgから500kgのゴミを拾っています」

 一緒に運営していたビーチクラブの井坂さんが急逝した今、真壁さんはNPO海岸クラブを発展的に改組したいと考えている。「継承していかなきゃいけないものもあるので、例えば、今やっていることは経済的にも人材的にも非常に社会貢献になっているからです。ドジさんが生きているときに考えていた組織があります。会員の中には、スノボーなど山のスポーツをやっている人もいるので、アーススポーツ・コーディネーター・アソシエーション、イーサカ(ESCA)という組織を考えています。ドジさんが生きているうちに、無料会員を5万人にしようと言っていたのに亡くなられちゃったので、まだ3~400人なんです」

 最後に真壁さんはビーチクリーンの運動を続けるにあたり、次のように語ってくれた。「もう逗子海岸はけっこうきれいですが、50人、100人でやると、やはりゴミの山になるんです。だから、短い時間でやってもらっています。5分、10分でゴミがこれだけ山になったでしょう。だから、節電や節水も同じで、少しだけやってもしょうがないと思わずに、みんながこうして少しずつやることで、地球温暖化対策になるんだよ。頼むね!』と子どもたちに言ってます」