このイチゴ農家のハウスは600 坪(1.983 ㎡)あり、1 棟あたり2,000 万円ほどかかっている。苗床にはヤシガラに肥料を混ぜてある。生育状況に応じて、カリウムを足したり、パイプを通して 水を補給したり、元気がないときは二酸化炭素を発生させている
施設農業(ハウス栽培)
二酸化炭素の削減ばかりが強調される持続可能社会への道程ですが、野菜たち、とくに果実の成育にとって二酸化炭素は不可欠の要素であることも知ってほしいと思います。
文:佐藤 延男
生活の中で受け継がれてきた先人の知恵や知識は、持続可能社会の構築にはもっとも大切なことであったはずなのですが、いつのまにか便利な世の中を得るために人々は道を誤ってきたことが多いようです。ゆえに、気がつけばオゾン層が破壊されていたり、二酸化炭素(温室効果ガスの75% がCO2)の排出量の増大、その数251 億トン(2019 年、温室効果ガスは335 億トン)を招いてしまい、その副作用は人類にとっての未来に不安と悪夢を招く状況に向かっているようです。
しかし、多くの人々が知恵と知識を身につけることで、きっと地球は人類によって明るい未来があるはずです。私たちができることは、興味を持って知識を身につけ、知恵を絞ることこそ、持続可能社会を構築するためのポイントなのだと思います。
二酸化炭素(CO2)濃度の増大というと、その悪影響ばかりがクローズアップされることが多いのですが、二酸化炭素は植物の成長にとって必要不可欠な原料であることは、みなさんもご存知のとおりです。施設農家(ハウス栽培等)を営む人たちは、美味しくて糖度の高い果物を生産するために、温室内の二酸化炭素濃度をアップさせて光合成速度を増加させ、植物の生育を促進させ、より美味しい果物をみなさんに提供しているのです。
施設農業を営む人たちは、ハウスの中で二酸化炭素発生装置を使用しているわけです。ちなみに、植物の光合成の速度がもっとも高くなる二酸化炭素濃度とは、1,000ppm̶1,500ppm と言われています。もちろん二酸化炭素濃度が高すぎても植物の生長は大きく変化しないのですが、二酸化炭素濃度が400ppm ほどになると、その数値より少しでも二酸化炭素濃度が低下するだけで植物の生長は低くなってしまうことがあるのです。
このようにCO2 効果を取り入れた施設栽培はかなり進化していて、その技術はすでに確立してきています。自然環境では、世界各地の農場の生産や生産性とその面積が増加してきていることも確かです。CO2 濃度の上昇による便益を最大限追求することや、農作物を中心に幅広い技術の統合が持続可能社会の構築には欠かせないということになるわけですね。私たちが日頃の生活環境の中で、少しでも自然環境に関する情報や興味を持って生活することこそがSDGs につながることになるわけです。次世代に不安や懸念を残さないためにも、多くの人たちに知恵と知識の生き方が大きなポイントになるわけです。