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『しぜんかんきょう』創刊号

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持続可能社会の構築(サスティナビリティー・サイエンス)

文:佐藤 延男

持続可能社会の取り組みは「リオ宣言」からはじまった。

持続可能社会の取り組みは「リオ宣言」からはじまった。

いまから30年程前に「環境と開発に関する国際会議」がおこなわれました。

 「リオ宣言」。地球環境を守るための憲法といえるもので、27章からなります。

 主な内容は、

1)人間は、自然と調和し、健康で生産的な生活を送る権利がある。

2)公害、環境汚染の被害者に対して責任を取り、保証をおこなわなければならない。

3)環境を汚染した者は、それにともなう費用を自分で負担しなければならない。

 リオ宣言に対して示された原則に従って各国が実行すべき具体的な行動計画を作るための規定が、生物多様性条約と気候変動枠組み条約です。

 持続可能社会はこうした世界の約束事からはじまりました。人類の生活の中から発生する化学や研究をもとに、「いかに地球環境を守るべきなのか」が議論され、現在に至っている課題なのです。そこで、サステナビリティ・サイエンスが、今後地球環境のために、自然科学と人文・社会科学の多様な学問分野の知を統合して取り組むアプローチなのですね。

「地球社会という目標を達成する」個別の科学ではなく、多様な人間の価値観を考え、人類全体に反映するべきであると同時に、生態系を損なうことなく、地球、社会、人といった異なる時空間の尺度で持続可能性とその方向性の追究をめざす統合的な科学の取り組みなのです。

 20世紀の人類における科学技術の急速な発展は、私たちの生活の質を向上させてきましたが、エネルギー資源の枯渇や地球温暖化、環境汚染など、多くの問題を生んできました。過去の反省から、今後の地球環境や産業、経済、生活、人間の調和を保ち、新たな発展をつづけることがサステナブル社会(持続的発展の可能な社会)をめざそうといった考えです。私たちもそうした地球規模の広がりを生活に取り入れていくことが大切であるとともに、次世代のために少しでも協力する努力をしていきたいですね。

「リオ宣言」とは

環境と開発に関するリオ宣言、略して「リオ宣言」は、1992年6月3日から14日にかけて開催された国連環境開発会議で採択された宣言です。別名地球サミットとも呼ばれ、当時、ほぼすべての国連加盟国172カ国の政府代表が参加、NGO代表2,400名も参加した大きな国連会議でした。

 本宣言の背景には、1972年の国連人間環境会議(ストックホルム会議)で採択された「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」がある。同宣言には、人間の環境保護義務や各国の責務、先進国に対する格差是正と途上国に対する開発の優先順位を念頭に置いた取り組みなどが盛り込まれた。しかし、人間環境宣言は条約ではないため、宣言で掲げた事項に対する国の権利や義務は規定されていない。加えて、ストックホルム会議では、開発が環境汚染・自然破壊を引き起こすという先進国の主張と、未開発・貧困がもっとも重要な人間環境の課題だとする発展途上国の主張が対立した。

 そこで本宣言は、「ストックホルム宣言を再確認するとともにこれを発展させることを求め、各国、社会の重要部門及び国民間の新たな水準の協力を作りだすことによって新しい公平な地球的規模の新たなパートナーシップを構築する」ことをめざすことが前文に述べられている。また、先進国と発展途上国の双方が、持続可能な開発と地球環境の保全に関して「共通だが差異ある責任(Common but differentiated responsibilities)」を有することを明示的に表現している。

 環境と開発に関するリオ宣言は、前文と27の項目で構成されている。また、同宣言を確実に履行するために、国連環境開発会議の場で、「気候変動枠組条約」「生物多様性条約」「森林原則声明」「アジェンダ21」も採択された。

参考URL:Sastenable Japan

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