
環境トピックス
その2
一大放送局ネットワークTBS が本気で取り組むSDGs 活動とは
放送局でSDGsを全面に打ち出して番組内でアナウンサーや番組出演者が「私にとってのSDGs」をやさしく語り、さらに番組とタイアップしてSDGsのイベントを春と秋に開催するといった独自の取り組みを継続しているTBS、その始まりと報道機関としての関わりなどをTBSホールディングのサステナビリティ創造センターSDGs企画部の小林豊さんに聞
いた。
TBSがSDGsの取り組みを始めたきっかけは、2018年9月、「SDGメディア・コンパクト」に民放ではいち早く参加したからだという。これは世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的として設立され、同コンパクトはSDGsに関するアドボカシーと行動、説明責任の強力な原動力となっている。その後、2020年7月にTBS内にSDGs企画部ができ、その年の11月から「地球を笑顔にするWEEK」キャンペーンが地上波を中心に始まり、イベントは2021年から始まり、2025年5月までで9回開催されている。
報道機関としてTBSはSDGs報道の扱いをどうしているのだろうか。小林さんは、2020 年ころに比べ、近年はどの報道機関もSDGs 報道が減ってしまった印象を持っていると語る。その背景にSDGs疲れや、SDGsが企業の「グリーンウオッシュ」にだけ使われているという印象を持つ人が一定数現れたことなどが考えられるという。しかし、ことSDGs に関しては流行りで終わらせない姿勢が大切で、未来の地球に対して不安、危機感をいまこそ正確に伝えて行動に起こしてもらわねばならない「人類の存亡をかけたアジェンダ」がそこにあると危機感を募らせる。
報道機関らしい細かい配慮も垣間見える。例えばこれまでは気候変動の結果が直接的に及ぶ今の10歳くらいの小学生が対象だったのを、これからは世に出てゆく新社会人前後、大学生の層までその年齢の幅を拡大しようと考えているという。具体的には複数の大学との産学連携を進め、大学生とのコラボ事業を加速させ、社会人手前の人たちに正確に危機感や問題点を深く理解してもらう作業を地道に行なっている。
イベントとしてのSDGsと番組のピックアップ、その整合性について聞いてみた。TBSではSDGsを各番組内で進んで取り上げる「地球を笑顔にするWEEK」を春と秋の年2回設けていて、その期間中に赤坂サカスで行われるイベント「地球を笑顔にする広場」を行ってオンエアだけでなく参加できる空間を創ってきたという。今回の「地球を笑顔にする広場2025 秋」は11月15日(土)・16日(日)予定で、「ぜひ赤坂サカスにお越しください」と小林さんはプッシュする。
最後にTBSのSDGsについて、セールスポイントは何なのだろう?「まずはTBS自らもカーボンニュートラルを着々と進め、さらに放送局といえば電気を使うわけですから、電力も自前調達する方向で新会社(TBS GX)を設立しました。SDGsを喧伝することはもちろん自らも行動して示す点」だと、小林さんは力説する。

